ponbooのブログ

夫婦二人で障害者年金で生活

星野先生2

今時の先生のカルテには珍しいドイツ語でした。お茶目で気さくでよく世間話をしてくれました。娘を連れて渋谷に買い物に行ったとか、毎日体の中をアルコールで消毒してる(晩酌の事)どんなに具合が悪くても先生の所に行けば治る。頼りがいのある先生が私は大好きでした。
しかし先生の元気な姿を見たのは8年前に神戸に転勤になったと話したのが最後でした。
一昨年11月に我が家に帰って風邪を引いたときに診察室に入ったら、先生は座ったまま『私はもう何も分からないんです。娘夫婦が医者で時々来てくれるから助かる。私は患者さんとお話するだけなんです』先生は認知症
になっていたのです。風邪をひいたので喉が痛いと告げると喉を見てカルテに喉の絵を書いてました。
私はまえに処方された薬を看護師さんに出して頂きました。しかし患者さんが多く持病の薬を出してもらっていました。大きな柱時計は止まったままでした。毎日先生がネジを回してたんだと思います。患者さんで盲目の方がヘルパーさんと来ていて『40年前に鍼灸り資格を取った時に診断書を書いて貰ったあとずっと通っています』とおっしゃっていました。この人も先生に励まされて来たのだと思いました。先生は77歳で2年前に認知症になったらしいです
。もう私のことも忘れています。悲しくてやりきれない気持ちでした。
数ヶ月後でんわが通じないので病院に行ってみると閉院のお知らせの張り紙がありました。『長い間おせわになりました。ありがとうございました』と書いてあり、私はその前で頭を下げて『こちらこそありがとうございました』と心の中で言いました。
今先生はどうしているのか分かりませんが、自宅でのんびりしていらっしゃるといいと思いました。寂しいし悲しいお別れでした。星野先生長い間おせわになりました。ご恩は一生忘れません。

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